マーケティングにはカスタマージャーニーの理解が重要です。
しかし、そもそもカスタマージャーニーが何なのか、どう活用すべきかがわからないという担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、カスタマージャーニーマップの概要や重要性から、カスタマージャーニーマップの作成手順と注意点について解説します。
目次
カスタマージャーニーとは、マーケティングを行う上で重要な概念です。
日本語にすると「顧客の旅」と表現できます。
「顧客の旅」とは、顧客が商品やサービスに出会い、比較検討し、製品の購入やサービスの契約、そして、再購入や継続利用に至るプロセスのことを指すものです。つまり、顧客の消費行動のことを指しています。
たとえば、Aさんがスマホを機種変する場合、大きく5つの段階を踏み、購入や契約に至るのが一般的でしょう。
まずは、認知することから始まります。
たとえば、新しいスマホが出た、安いプランを提供するキャリアがある、今使っているスマホの調子が悪い、などが挙げられます。
次に、スマホやキャリアに対して興味や関心がわきます。
たとえば、新しいスマホの機種は何にしようか、そもそも今使っているキャリアのままにするか変更するか、といったことを考え出すのがこの段階です。
興味や関心を持った対象に対して、情報収集を始めます。
たとえば、どのようなスマホの機種があって、どのキャリアが安いのかを調べるなどの行動です。
情報収集をしていくと、いくつかの選択肢を検討し始めます。検討には、比較サイトのレビューなども参考にするでしょう。
さまざまな情報サイトなどの評価を見て、どのスマホ、どのキャリアにするかを決定します。
どのスマホでどのキャリアを使うかを決定したら、スマホを購入したり、新しいキャリアと契約したりします。
その後、そのスマホが古くなれば再購入したり、キャリアが気に入れば継続利用したりするでしょう。
このような顧客の購買プロセスがカスタマージャーニーであり、一つ一つのフェーズを把握すれば、適したタイミングでマーケティング施策を打つことができるのです。
そして、これらを可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。
カスタマージャーニーマップを作成することは、顧客のそれぞれのフェーズに対して、適した施策をタイミングよく打つために重要なものです。
顧客の大まかな購買行動を把握しておくことは、マーケティングの基本です。
そのため、カスタマージャーニーの基本を知り活用できる能力を身につけることは、マーケティングを担当する上で非常に重要なものであると同時に、基礎だともいえます。
カスタマージャーニーを知らない状態でマーケティングに携わっても、顧客の行動が把握しにくいため、適切なタイミングで「今顧客に必要な情報」を提供できない可能性が高くなります。
たとえば、顧客が製品の比較をしているフェーズに、特定の商品の契約書類を提示しても意味がありません。これは、顧客の行動や心理と、マーケティングの施策がズレているからです。
このようなズレをなくし、適切な場面で適切な施策を打つことがマーケティングにおけるもっとも重要なことです。
カスタマージャーニーを理解して、カスタマージャーニーマップを作成できるようになれば、顧客に対して適切なタイミングで適切なアプローチができるようになります。
カスタマージャーニーの意味とその重要性が把握できたでしょうか。
ここからは、カスタマージャーニーマップの作成手順をみていきましょう。
カスタマージャーニーマップを作成するためには、自社の製品やサービスを求める顧客がどのような層かを知る必要があります。
そのために行うのが「ペルソナ設定」です。
ペルソナとは人格のことです。
ここで設定するペルソナは、自社の製品やサービスを購入、契約する具体的な顧客像のことを指します。
たとえば、自社がスマホを提供しているならば、スマホを購入しようとしている具体的な人物像を設定します。
その人物の性別や年齢、職業や年収、住んでいる地域や家族構成など、ターゲット層の顧客像を掘り下げていく作業です。
それら情報が具体的なほど、設定したペルソナでさまざまなことをイメージしやすくなります。
ペルソナについては、以下で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
>>ペルソナ設定がマーケティングの成功を左右する!その意味や重要性、設定のポイントなどを解説
ペルソナを設定したら、その行動を洗い出します。
主に、製品やサービスの購入や契約に至るまでの行動をトレースしていきましょう。
たとえば、一般的な傾向としては以下のような順番で行動します。
1. 課題の発生:困りごとや気になることが発生する
2. 情報の収集:課題の解決策についての情報収集を開始する
3. 検討:製品やサービスを購入・契約するために、比較したり評価を確認したりする
4. 購入・契約:比較した中で自身の要求にマッチした製品やサービスを購入、契約する
5. 継続利用・再購入:気に入れば継続して利用したり、同じ製品やサービスを再度購入したりする
このようなペルソナの行動を洗い出すことで、カスタマージャーニーが徐々に明確化されていきます。
ペルソナの行動を順序立てて明確化したら、それぞれをフェーズとして捉えます。
フェーズとして段階を意識することで、ペルソナが「課題発生」のフェーズにいるのか、すでに「購入・契約」のフェーズにいるのかが明確化できるようになります。
たとえば、「情報収集」のフェーズであれば、ペルソナはより多くの商品を知りたいという心理がはたらくでしょう。
そのために、商品が紹介されているサイトやSNSを検索するという行動をとります。
ある程度の情報が収集できたら、その中から自分が欲しい商品をいくつか並べて比較したり、口コミや評価を確認したりして、満足の行く商品を選び出します。
ペルソナの心理や行動はフェーズごとに変化するため、そのフェーズにマッチする情報を、適した手段でペルソナに提示することが大切です。
たとえば、「情報収集」のフェーズであれば、たくさんの情報を収集できる商品比較のホームページをペルソナの前に提示するとよいでしょう。
あるいは、「比較・検討」のフェーズであれば、商品ごとの口コミや評判をまとめたサイトを提供するなどが解決策として挙げられます。
ペルソナがそのフェーズで納得できる「解決策」を考えて、適切なコンテンツで提示しましょう。
カスタマージャーニーマップを作成することで、ペルソナが置かれている各フェーズに対して適切なアプローチができるようになります。
ただし、カスタマージャーニーマップを作成する際には、いくつかの注意点があります。
カスタマージャーニーマップは、顧客の購買行動をトレースするものなので、最初から高精度なものを作るのは難しいものです。そのため、最初から細かいマップを作るよりも、マップ作成に慣れるところから始めましょう。完璧なマップを作ろうとするのは避けて、少しずつ感覚をつかんでいくようにします。
自社の製品やサービスを、ペルソナがどのように捉えるかについて、担当者自身の理想を反映しすぎるケースもあります。
たとえば、「このように情報を収集してほしい」「提供した情報のこの部分で判断してほしい」、あるいは「この情報を見たら、ペルソナはこのような行動をするはずだ」といった理想も、マップの精度を低くしてしまう原因になります。
「ペルソナはこう思うだろう」「このような行動をするだろう」といった情報は、できる限りファクトを重視して作成しましょう。
カスタマージャーニーマップは、常にバージョンアップすることを意識しなければなりません。
なぜなら、ペルソナの購買行動は常に変化するからです。
極端な例を挙げるならば、昔はチラシなどの広告でしか得られなかった商品情報は、現在ではインターネットを介してスマホやパソコンでいつでも見られるようになりました。情報の取得方法や環境が変わっているため、ペルソナと企業の接点は変化し、ペルソナの購買プロセスも大きく変わったのです。
スマホなどで手軽に情報を得られる現代では、その変化のスピードも早くなりました。
たとえば、更新する期間を決めておくなど、カスタマージャーニーマップをバージョンアップさせる仕組みを持たせておきましょう。
近年、カスタマージャーニーマップの考え方を古いとする意見も見かけます。
その理由の一つには、顧客の購買行動の多様化が挙げられます。以前のように、必ずしも同じプロセスで商品を購入するとは限らなくなったのです。
たとえば、偶然スマホに表示された広告に興味を持ち、「偶然知った商品を突然購入する」などの購買行動が起こっています。
このような購買行動は、カスタマージャーニーマップで予測したプロセスから外れている可能性が高いのです。
しかし、確かに購買行動にはこのような変化はありますが、顧客の購買行動に対する基本的なプロセスは無視できません。多くの場合、ペルソナが課題を発見して、解決するための情報を探し、検討や比較をして、商品やサービスを購入するというプロセスを踏んでいるからです。
そのため、カスタマージャーニーマップを作成する能力や、バージョンアップしながら管理していくことは有効なマーケティングであるといえますし、「考え方が古い」ということは決してありません。
カスタマージャーニーは、顧客の購買行動における基本的な考え方だといえます。
そのため、ペルソナを明確化して、その行動を分類し、各フェーズに対する解決策を策定することはマーケティングとして有効な手段です。
カスタマージャーニーを理解してマップを作成できるようになり、より効果的なマーケティングを展開していきましょう。
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